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○尾辻秀久君 (抜粋)次に行きます。 国際協力機構、JICAに質問をいたします。 本日は、三度目の正直で緒方理事長に出席をしていただきました。 最初に予算委員会に出席をお願いいたしましたら、海外出張中でありました。二回目に予算委員会の委嘱審査、外交防衛委員会に出席をお願いいたしましたら、体調を崩して出席できないということでありました。しかし、その日の午後には皇居にお出掛けになり、夜は外務大臣と会食をされたということであります。 深窓のお育ちでありますから余り世間のことはよく御存じないのでしょうけれども、世間ではそういうことをなさると事実のいかんを問わず、事実のいかんを問わずです、午前中の病気は仮病だったと言われるのであります。診断書もお出しになりました。うそも方便とは言いますけれども、しばらくの間安静と休養を要しますという診断書をお出しになって、五日後には海外にお出掛けになりました。そういうことも世間ではうそも上手についてくださいということになるわけであります。 委員会における副理事長の、理事長は体調を崩しておりますという答弁は虚偽の答弁であったと言わざるを得なくなるわけであります。しかも、この日の委嘱審査は、JICAの予算を審査する委員会でありました。JICAは、これまた先ほど来申し上げているように国民の税金で運営されておるわけでありまして、そのことが分かっておられるのかなというふうに言わざるを得なくなります。 国連に長くお勤めでありましたから、釈迦に説法みたいなことをあえて申し上げますけれども、日本国憲法では主権は国民にあります。国民の代表である国会が国権の最高機関であります。既に予算委員長よりも厳重注意はあったところでありますが、二度と主権者たる国民と国会を軽視したと言われることのありませんように、そして、こんな場で小学校の社会科の授業をする必要の再び生じないようにしていただきますよう申し上げて、質問をいたします。 JICAを始め特殊法人が独立行政法人になる際に、国の関与は最小限のものとするということになりました。しかし、だからといって国会の監視がなくていいということではないはずであります。申し上げたように、JICAにしても年間千六百億円を超す国民の税金を使います。 独立行政法人に対する国会の監視について、総務省の見解を求めておきます。 ○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。 独立行政法人は、公共的な事務事業の実施のため、法律に基づきまして政府が設立する法人でございます。当然のこととして、国会の所要の関与の下にあるわけでございます。 具体的には、その業務の範囲等を定めます設置法案が国会により審議、決定されますほか、国から独立行政法人に対する毎年度の運営費の交付等の所要の財源措置につきまして、国の予算に計上し、国会の審議を受け議決を経る、更に国の決算として御審議をいただくということになっております。また、主務省によります法人の管理あるいはその法人の運営につきましては、憲法第六十二条の規定に基づきます国政調査権によりまして国会の監視を受けるものと考えております。 ○尾辻秀久君 もう一点、総務省に尋ねます。 独立行政法人については、運営の自由度を高めるために、予算はどちらかというと柔軟に組んでおいて、決算でしっかりチェックしようという考え方であったと理解しておりますが、そういうことでいいですか。 ○政府参考人(松田隆利君) 先生御指摘のとおりでございまして、予算につきまして一定程度柔軟な措置を講じます一方で、事後の評価は厳格に行うということで、決算の御審議を始めこのシステムに、制度におきましてもいろいろな事後評価の仕組みを取り入れているわけでございます。これによりまして業務の質あるいは効率の向上を図ろうということでございます。 ○尾辻秀久君 今のやり取り、お聞きのとおりでありまして、独立行政法人の決算につきましてもこの決算委員会の責任は極めて重いものがある、改めてそう思います。 そこで、JICAに質問をいたします。 いろいろ聞きたいことはあるのでありますが、今日は、移住者に対する融資、これJICAの一つの事業でありますから、この問題にほとんど絞ってお尋ねをいたします。 外務大臣は、先月、衆議院の委員会で中村議員の質問に、ドミニカでの融資、このJICAの融資でありますが、について聞かれて、九百四十二件のうち七百七十四件は返済している、うまくいっているんだと言いたいような答弁をされました。 そこで、大臣、聞いてください、いいですか、今からの話をよく聞いておいてください。実際に進行中の話でありますが、仮にAさんとしておきましょう。 このAさんが、一九六五年です、このAさんが一九六五年の十二月に四百五十ドル借りたんです。四百五十ドル借りています。この人が、六年後の一九七一年になったら元利合計で五百ドルに膨れ上がっていた。で、しようがないからJICAはどうしたかというと、改めて二千五百ドル貸したんです。二千五百ドル貸しておいて、たまっている五百ドルは返してくださいねと、残りは実質あなたの借りにしますねと、こう言ったんです。そうしたら、この二千五百ドルが一九七五年になったらまだかなり残っていた。そうしたらJICAはどうしたかというと、一九七五年の八月には今度は新たに四千ドル貸した。四千ドル貸して、二千五百ドル、前の分は返してくださいねとやった。今度はこれが一九八五年になったらどうなったかというと、八千六百二十七ドルに元利合計で借金が膨れ上がった。で、しようがないから今度どうしたかというと、そのときに一万五千百五ドル貸して、そして前の分返してください、残りは新たなあなたの借りですねと、こういうふうにやった。 今のケースで、さっき大臣がお答えになった九百四十二件のうちの七百七十四件、このうちの今のケースは何件と何件になるわけでありますか。いや、大臣が答えた件だから、大臣に聞いているんです。大臣にちゃんと聞いてくださいと言いました。 ○委員長(鴻池祥肇君) 質問者が川口外務大臣の指名でありますので、川口外務大臣、御答弁ください。 ○国務大臣(川口順子君) そのおっしゃった例でございますけれども、私はその個別個別の例について、この九百四十二件について全部承知をしているわけではございませんので、こういったケースについて何件と勘定しているかということについては領事移住部長からお答えをさせていただきます。 ○尾辻秀久君 役所の書いた答弁書を読むだけだからこんなことになるんです。ちゃんと理解して答弁してください。 要するに、私から言いますよ。今のケースで言うと、この前の大臣の答え方で言うと、四件の貸付けに対して三件完済されていますという言い方になるんですよ。だけれども、実際には全然違うじゃないですか。最初、四百五十ドル貸したのがいつの間にか一万五千ドル、四十倍か三十倍かに膨れ上がっていて、その借金がずっと続いているだけですよ。しかし、この前の大臣の答えた数え方で言うと、四件のうちの三件は完済されていますという答えたその数字なんですよ。 私が言いたいのは、こんな実態を表さない数字で答えたって何の意味もないでしょうということを言いたいんです。しかも、こういうやり方というのは、申し上げるまでもないかもしれないけれども、追い貸しと言いまして、禁止されている金融機関も結構あるわけであります。私が言いたいのは、要するに大臣がそのときに答えようとした実態とは全く違っている。 これもまた質問の形にすれば長々と答えられそうですから、言い訳もされそうですから、もう私の方から言います。平成十三年度末の数字しかないんでこれで答えますけれども、平成十三年度末でJICAが融資事業に出資した、使った金、融資した金と言ってもいいでしょう、使ってきた金、これは国から全部出資させた金でありますが、国が二百八億円出してやってきた。その二百八億円の金で融資してきたうちの、何と十三年度末で既に欠損金として百億円が消えているんですよ。残り百八億しかないんです。二百八億のうちのもう早くも百億が消えてしまっているわけであります。しかも、これも今から言いますけれども、その百八億も大半が消える運命になっている、これが実態なんです。 ですから、大臣に申し上げておきますけれども、さっきも言いました、事務方から渡された答弁読んだってしようがないんです。本当の実態で答えていただかないと何にもならない。そういうことをまず申し上げておきます。 そして今、百八億円も消える運命と言いましたけれども、それを証明するための質問を今からしますから、これはきちっと答えてください。 貸倒引当金、積んでいますね。これが独立行政法人になる前となった後、貸倒引当金の額をそれぞれ答えてください。 ○委員長(鴻池祥肇君) どなたが答弁されますか。畠中副理事長。 ○参考人(畠中篤君) 貸倒引当金は、独立行政法人になります前は、移行前の貸付残高の千分の六を計上してまいりました。独立行政法人になりましてからは、独立行政法人会計基準第二十九に基づきまして、債務者個々の返済状況や財産状況を勘案いたしまして貸付債権を分類の上算出されまして、約三十億円の貸倒引当金を積んでおります。 ○尾辻秀久君 聞いてあきれるというのはこのことですよ。貸付けの中身が変わったわけじゃ全くありませんよ。同じ貸付けが続いているんですよ。一晩明けたら貸倒引当金が二千八百万から、今二千八百万と答えましたね。 ○参考人(畠中篤君) 申し訳ありません、額を申し上げませんでしたが、二千八百万円でございます。 ○尾辻秀久君 知っているものだから、ついつい自分で数字言ってしまいましたが、二千八百万のはずであります。 その貸倒引当金が、一晩明けたら二千八百万から百倍になって三十億になるなんて、そんな話はどこにもないですよ。まあ言い訳していましたけれども、千分の六だったからとか、だからしようがなくて二千八百万にしていたんだというふうに言いますけれども、それにしても、さっきの話じゃないけれども、担当者は実態知っていたでしょう。 私、昨日、通告していましたよね、担当者がどう思っていたか、その話だけは聞きたいと。どう思っていたか、その担当者の話、聞いてもらえましたか。 ○参考人(畠中篤君) 担当者の気持ちをお尋ねでございますけれども、その前に私が申し上げましたことをもう少し正確に御説明させていただきたいと思います。 独立行政法人になります前の千分の六という数字は、これは当時の他の特殊法人と同様に法人税法施行令第九十七条に基づいて千分の六と定められておりましたので、それを自動的に計算をいたしまして二千八百万円としておりました。他方、独立行政法人に移行しました後は、貸倒引当金についての規定が新たに独立行政法人会計基準第二十九というものに基づいて引当金を充てるように定められましたので、それに基づきまして計算をしましたところ、額が変わりました。そういうことでございます。 ○尾辻秀久君 だから、気持ちを聞いてくださいって聞いたんじゃありませんか。法律ではそうでしょう。そうしたら、JICAは法律どおり仕事をしていりゃ後は野となれ山となれと思って仕事をしているんですか。その担当者は、今度は三十億の貸倒引当金になったわけだから、これではとても大変だと思っていなきゃうそだと思うから思っていたのか、どんな気持ちだったのか、一遍聞いてみたいと思って質問しているんですよ。今の説明聞いていますと、答弁聞いていると、今私が言ったとおりになりますよ、法律に載っているどおりに淡々と仕事をしていりゃ後は野となれ山となれ、知りませんという、そんな仕事をしているんですと答えているのと一緒じゃありませんか。何か言うことありますか。 ○参考人(畠中篤君) 大変申し訳ありませんが、JICAも関連の法規に基づいて仕事をしていくことになっておりまして、仕事を実施していきますときにはまず法令を遵守して仕事をするということでございますので、この点御理解いただきたいと思います。 ○尾辻秀久君 法令を守らなくていいとは言いません。法令を変える必要があるだろうというぐらい言い出す人がいてもいいじゃないですか。これは、この法令どおりじゃ大変だから法令変えなきゃ大変ですよって、それは、言い出す人が一人もいなかったということを悲しいと思いませんか。そのぐらいまじめにというか一生懸命仕事をする人がいなかったということをあなたは今また言っているわけで、私は大変そのことを悲しいと思います。 それじゃ、融資額に占めるこの貸倒引当金、融資額の総額と、それから国別、ちょっと言ってみてください。 ○参考人(畠中篤君) 今のお尋ねの件は、貸付総額と貸付残高の件でございましょうか。 ○尾辻秀久君 そうです、そうです。 ○参考人(畠中篤君) ちょっと今、手元、今資料を出しますが、ドミニカについて申し上げますと、これまでに、一九五八年度から二〇〇三年九月三十日までに二十三億円の貸付けをいたしました。そのうち二〇〇三年九月三十日現在の貸付残高は約十二億円でございます。 この十二億円と申しますのは、JICAが貸付けをしております移住貸付けは四か国にしておりますが、総額四百六十億円を貸しましたうちの貸付残高、全体のものは四十五億円残っておりますので、全体の中の、四十五億円の中のドミニカ分は十二億円という内訳でございます。 ○尾辻秀久君 そんなことを聞いているわけじゃないんです。総額幾ら貸しておいて、そのうちの貸倒引当金を幾ら積んでいるか。その割合だけを聞いているんです。総額だけは私も知っていますよ。答えましょう。JICAが今総額貸している金が四十六億円、そのうちの三十億円が貸倒引当金、これがJICAの融資の実態じゃないですか。四十六億円貸しているけれども、まあ恐らく返ってこないでしょうと言っている金額が三十億円という話なんですよ。この実態は、私は明らかにしたくて今の質問をしていたわけですが、もう細かなお答えは要りません。多分、国別によっては八割か九割貸倒引当金を積んでいる国があると思います。たしかそうだったと思います。細かな数字はいいんです。 こうなると、こういうのを貸付けって言いますか。八割も九割もの人が返さないだろうというもう前提に立っていて、まあ返してくれても一割の人が返してくれますというのは、これは普通貸付けとか融資とかって言わぬのですよ。くれてやったと言うんですよ。そうでしょう、はっきりそういうことになりますよ。ですから、私はこのことも指摘しておきたいわけであります。 それで、私は、だけれども今日言いたいのは、そこの部分では本当はないんです、そこの部分では本当はないんですよ。JICAの融資というのは移住者の皆さんを助けてあげようということで始めたんです。そういう大きな政策目的持っているんですよ。だから、その政策目的に向かって善意で実行されて、結果としてうまくいかなかった。それは、移住者の皆さんも大変困っておられるから融資したけれども返済が滞ったというのであれば、それは私はここでこんな質問はしないですよ。しかし、いろんなその陰に問題がある。 例えば、あるジャーナリストの告発、その人が書いているとおりに読みますよ。 ドミニカでは移住者への融資は移民政策へ抗議する人への懐柔策ではないかという指摘がある。日本政府の責任を激しく追及してきたグループにも日弁連の審理が始まった年から融資が始まり、九三年に外務省の調査団がドミニカに派遣された際に、これまでは数百万円の融資額だったのに対して一千万円単位で最高二千四百万円の融資が持ち掛けられたと言われている。ドミニカの貨幣価値は日本の十分の一、日本であれば二億四千万円借りたことになる。二百世帯ほどの日系人社会に六億円以上の金がばらまかれ、融資の回収率は低く、九割の移住者は返済していない。 この告発に対してどう答えますか。 ○参考人(畠中篤君) 先生が今御説明になりました状況については具体的に承知はしておりませんが、これまでJICAは移住者の方々のニーズに応じて貸付対象となる業種の多様化とかあるいは貸付限度額の拡大、返済期限の延長、貸付利子の、利率の引下げなどいろいろな改正を行いながら実施してまいりまして、JICAの移住融資は一定の役割を果たしてきたと考えております。 ただ、移住者の方々の中には種々の事情によりまして必ずしもいまだ生活が安定するに至っていない方がおられるのは承知しております。最近の例でございますけれども、一九八五年にドミニカのペソが変動相場になりましたけれども…… ○尾辻秀久君 もう聞いていないことまで答えていただかなくても結構であります。 今、一言で言うと、JICAはこの話否定したわけでありますけれども、もう私も多くの人からこの種の話は聞いているんですよ。いろんな人が私に訴える。 そこで、私もできるだけ客観的にこの数字見てみたいと思って皆さんに資料出してもらいましたよね。そうすると、皆さんが出してくれた資料を見る限りにおいて、かなり今の指摘が符合するんですよ。例えば一九九三年、一九九四年、急に融資が、前年が四件だったのが十二件に増え、そして、これ幾らになるのかな、とにかく融資額で三倍になるというような実態があります。あるいは皆さんに融資の額の大きい十位まで持ってきてくれと言ったら、ここで指摘しているとおりに、この人が指摘しているとおりに二十四万ドルの融資が一九九四年に行われている。大きい融資額見ると、九四年、九六年、九三年、九四年、九三年、九六年、九三年、とにかく指摘どおりの、と見られることが行われていることは事実なんですね。だけれども、これ以上私はもう調べようがない。あなた方に資料を出してくれと言うと、プライバシーにかかわることだから出せないというわけであります。 ですから、委員長にお願いしておきます。 これ以上は私の個人ではできませんから、委員会として調査する何か方法を見付けていただければというふうに思います。 ○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの尾辻委員の発言につきましては、後の理事会において協議をさせていただきたいと思います。 ○尾辻秀久君 そしてもう一つ、今日一番言いたいのはこのことなんです。このJICAの融資の問題点、ドル建て融資というやつですよ。このドル建て融資というのはどういうことかというと、ドルで一ドル貸したからまた一ドル返してくださいねと、こういうんです。ここまででも分かりにくいかもしれないけれども、もっと具体的に言いましょう。 例えばドミニカの例ですよ。一ドル一ペソのときに借りた人がいるんですよ。今、一ドル五十五ペソなんですよ。一ドル貸した者は一ドルを返せと言うから一ペソもらって借りたのが、今度は五十五ペソ返せと、こう言われているわけですよね。これがJICAのドル建て融資で、ずっとこれでやってきた。 五十五倍返せますか。百万借りて五千五百万返せとあなた方は言っているんですよ。もうこんなところでいろんなやり取りはしたくないんです。もう悪徳金融業者も顔負けのことをJICAはやっておるんですよ。それで、言っている。ここだけは緒方理事長、答えてください。もう緒方理事長に、細かなことは要りません。今まで生きてこられた、私からしても大先輩として、五十五倍にして元金返せと言われて返せると思いますかという答えで、という質問に対して答えてください。 ○参考人(緒方貞子君) いろいろな御質問を伺っておりまして、私なりに今の御質問に答えさせていただきたいと思っております。 その五十五ペソが返せるかということを少し広く答えさせていただくんですが、私も昨年の十月にJICAの理事長を拝命いたしまして、その後からいろんな形でこのドミニカの移住問題については勉強させていただいております。 それにつれても感じましたのは、今ドミニカの移住者として苦労しておられる方々はほとんど私と同じ世代の方々でございます。そして、戦争を越えて、戦争の中で生きて、それでいて大変苦しい生活の中から移住されたと、そういう方々でおられる。そういう方々に比べまして、私自身は幸い勉強することもできましたし、そして戦争と平和の問題を十分意識しながら、その後、国際的なことで、難民の救援とか戦争と平和をどうやって解決するかというようなことについて仕事をすることができたわけでございます。改めてこのドミニカの問題というものに直面いたしまして、私としては、こういう方々の御苦労ということについては心から同じ世代の者として何かお役に立ちたいというようなことを考えるわけでございます。 融資のことにつきましては、融資をしてきたことによって多少お役に立ったんではないかというふうに考えておりますし、そういう事実はあるんだと思うんですが、いろいろお話を伺っていくにつきましても、この融資事業というものも平成十七年に新たにしなきゃならない、そういうことになってきたので、この問題はもう一度振り返って考えてみる時期に来ているのではないかなというふうに私としては感じる次第でございます。 これから今まで苦労された方々の実態ということも十分把握しました上で何か移住者の方々に誠意を持って対応したいと、そういうことで、政府とも十分相談しながらそういう方向で進ませていただきたいと、こういう一般的なことになるんでございますが、そういうふうに考えております。 よろしくお願いいたします。 ○尾辻秀久君 理事長から前向きの御答弁がありましたからこれ以上は言いません。 ただ、少し付け加えさせて言わせていただくと、これは理屈を言いますと、先ほど通告したんですが、ドミニカ憲法百十一条と一九四七年十月九日の法律一五二八の第一条、この辺の定めじゃどうなるのかなというのもありますね。ちょっと研究しておいてください。 というのは、この辺の定めによると、ドミニカ・ペソ以外での契約というのはドミニカの国内法でどうなんだろうという問題もあると思いますから、これの研究もお願いしたいし、それから利子も、一%を限界にしているという行政法もあるんじゃないかという話もありますから、法律上のドミニカの国内法の研究というのももう一度してもらうようにお願いをいたします。 しかし、理事長に改めてお願いだけはしておきますけれども、理事長がおっしゃったとおりに、それは全部否定しているわけじゃないんです。それはJICAの融資で助かった人たちも一杯いるからそれはそれでいいんですが、ただやっぱり、五十五倍というのは一番極端な例だけれども、一ドル三ペソのときもありますしね、六ペソのときもあるんですよ。五十五ペソとの倍率考えてもらうと十倍にはなったりするわけで、それは借金、元金を十倍にして返せと言われれば返せなくなるのが当然だし、目の前真っ暗になるし、そして自殺者も出ているんです。それは是非、そういう人たちの苦しみというのは考えていただいて今後の何か解決策というのをお願いをしておきたいと思います。 そこで、今度は、今までもドミニカの問題質問してきましたけれども、ドミニカ移住問題ということで質問をいたします。 この決算委員会でドミニカ移住問題を扱うのは初めてでありますから、この問題を御存じない先生方もおられると思います。概要だけをさっと申し上げます。 ドミニカ移民は、昭和三十一年七月から昭和三十四年九月にかけて十二次に、十二次、十二回にわたって送られたものであります。カリブの楽園をキャッチフレーズに移民募集されたのでありますけれども、政府がした約束と現実は余りにも食い違っておりまして、自殺者も出ましたし、日本から田畑売り払って財産持っていた移住者は破産状態になったのであります。政府もついに失敗認めて、集団帰国という悲惨な結末になったというのが大まかな概要であります。 昭和三十七年二月の衆議院内閣委員会における答弁でも、外務省は戦前の移民が、棄てる民、棄民であったことは認めておりますが、戦後のドミニカ移民もまた棄民であったのであります。 外務省の外郭団体である日本海外協会連合会、JICAの職員として長いこと移住業務に携わってこられ、その後大学の先生になられた若槻泰雄先生は、外務官僚の無能と腐敗により万を超える日本移民が文字どおり塗炭の苦しみを味わわされるのを直接体験してきた、外務官僚の大部分は自分たちの利益を守るためには国民を犠牲にすることを何ら意に介さないという驚くべき卑劣な人格の持ち主であるとまで、その著書「外務省が消した日本人」の中で述べておられますし、また、外務省OBの天木直人元レバノン大使も、著書「さらば外務省!」の中で、この若槻先生の糾弾を全くそのとおりであると証言をしておられるわけであります。私に言わせてもらうならば、これは日本の外務省が我が同胞をドミニカのうば捨て山に捨てた、うば捨て山物語と言わざるを得ません。 そして、このドミニカ移住の問題を私はずっと追及してきましたけれども、これは単にドミニカの移民問題ではない、単にドミニカの問題ではない、若槻先生の言われるがごとく外務省の体質の問題である、そういうふうに今や思っておるわけであります。 そこで、今日は、今までもいろいろ聞いてきましたけれども、ラルイサの土地の問題について質問をしたいと思います。 この問題も簡単に説明をしておきます。 冒頭申し上げたように、カリブの楽園とだまして移住者を送り込みました。一度目のうそであります。その後、失敗を隠し切れなくなって集団帰国という事態になりました。このとき、全員帰られると格好が付かないので、残った人にはもっと広いいい土地をあげましょう、融資もしましょうと言いました。これがまたうそでありまして、二度目のうそであります。そして、四十年以上が経過をいたしました。地獄からはい上がって成功した人も出てきました。念のために言っておきますけれども、最初の入植地で頑張って成功した人は一人もいません。土地を替え、仕事を替え、たたき上げて成功をした人たちであります。こういう人たちが過去の二度のうそに対する責任追及をどんどん始めましたので無視できなくなって、四十年以上前の約束を後ればせながら果たしましょうというのがこのラルイサの土地を提供しようという話でありました。しかし、これが三度目のうそだといってこの移住者たちを激怒させるのであります。なぜか。今から残された時間で質問をいたします。 まず、改めてこの追加配分になった経緯を説明してください。 ○政府参考人(鹿取克章君) 今御指摘ありましたように、ドミニカの移民につきましては、移住当初から、約束どおりの土地の配分をドミニカ政府に働き掛けるように、こういう移住者の方々の御要望がありまして、政府もドミニカ政府に働き掛けた経緯がございます。 また、このラルイサの土地でございますけれども、ラルイサの土地につきましては、平成九年十月、ドミニカの日本人移住者の方々が訪日した際、外務政務次官に対して、募集要項に記載された土地の供与を実現してほしいと、こういう要望が改めて出ました。これを受けまして、同年十一月十八日、現地大使館の大使がドミニカ農地庁のゲレロ長官との会談で移住者の方々の御要望をお伝えしました。その際、同長官は、我々は移住者の方々に対して入植当時の約束を完全に履行すべき立場にあり、その意味でドミニカ政府は移住者に対して負い目があると。したがって、今後は守れなかった約束を、四十数年経たとはいえ、履行に向け鋭意努めていきたいと、こういうお話がドミニカ農地庁長官からございました。 その後、ドミニカ政府においていろいろとこの対策を検討し、平成十年七月五日にコリャド農地庁長官は、日本人移住者に対して、ドミニカ政府は当時の日本人移住者に対し約束をし、その約束を果たしてこなかったことで借りを負っていた、その借りを返すこと、すなわち約束を果たすことはドミニカ政府側の義務であり、我々はその義務をお返しすることで務めを果たしたいと、こういうことでラルイサの土地、これを移住者の方々に無償で提供すると、こういう話が出た次第でございます。 ○尾辻秀久君 今の答弁ですが、そうすると日本大使館が働き掛けた、これは間違いないですね、政府に。もういいです、今そう答えたんだから。そして、ドミニカ政府が、我々には義務があるといってこの事態になったと、こういうことで今の答弁を理解をいたします。そういう答弁でありました。 そこで、ドミニカ政府より日本大使館に通報があったということで、移住者の皆さんに日本大使館が出したペーパーがありますね。この通報というのはどんな通報があったのか、教えてください。 ○政府参考人(鹿取克章君) 今申し上げましたように、平成十年の七月五日、ドミニカの農地庁長官がこのラルイサの土地の提供ということを行いました。その七月五日のその内容を移住者の方々に通報すると、そういう段階でその内容を日本語に直した紙というものを用意いたしました。その紙が七月五日、農地庁長官の発言とともに移住者の方々に配付、示されたと、こういうことであると思います。 ○尾辻秀久君 それじゃ、ドミニカ政府が出したペーパーというのは、もらえますね、部長。ドミニカ政府が出したペーパーというのは、もらえますね。 ○政府参考人(鹿取克章君) 七月五日に移住者の方々にお渡しした紙のことでございましょうか。 ○尾辻秀久君 いや、あなたが今答えたじゃないですか。ドミニカ政府からもらった紙があると言うから、その原本の方をくださいねと言ったんです。あなた方が出したのは私もここへ持っていますよ。 ○政府参考人(鹿取克章君) この紙の内容は、ドミニカ政府からの通報に基づきまして日本大使館がまとめたものでございまして、この紙に相当するスペイン語のものはない、存在しないと思っております。 ○尾辻秀久君 何で存在しないんですか。それじゃ、何を基にこのペーパーはできたんですか。 ○政府参考人(鹿取克章君) これは、ドミニカ政府の大使館員に対する連絡、これを受けまして作ったものでございます。 ○尾辻秀久君 その連絡がどういう形であったんですかと聞いているんですよ。口頭であったんですか。 あのね、外務省というのはいつもそうなんですよ。口頭で聞きましたと言ってそれでやって、あと責任が訳は分からなくなる。このドミニカ移民も全部そうなんですよ。聞けば、こう言われたんですと。言われた証拠はどこにも残っていないから、後でみんな信じた方がばかでしたと、こうなるんですよ。今回もその気配があるから、その原本をくださいという、今言っているんです。意味が分かりますか。 ○政府参考人(鹿取克章君) この紙の中には日本語でいろいろ説明が書いてございますが、一つ表がございます。この表はどの地域に住まれた方々がどの程度の追加配分を受けるかという表でございますが、この表についてはドミニカ政府からいただいたものがございます。 ○尾辻秀久君 だから、このペーパー全体をどうやってドミニカ政府から聞いたんですかと聞いているんですよ。あなた方はそんなことばっかり言う。また、委員長、是非時間を下さい。 余り時間がなくなっているんで、腹立つから、もう今日はそういうのの一つの証明を、一番分かりやすい証明を、それじゃ少し飛ぶんだけれども、私が用意した順番とはうんと飛ぶんだけれども、質問しますよ。 このラルイサの土地の上に建物が建った、それも草の根無償で建った。私、見に行って、まあ何にも役に立たない、よくこんな建物造ったなと思って、そのこと自体が問題なんだけれども、よくよく調べてみたら、土地の所有者との間の何の契約もなしに建物建てていましたよね。そんなばかな話があるかと。国民の税金を使って建物造るのに、土地の所有者と建てていいというそんな約束も何にもなしに勝手に造ったというそんなばかな話があるかと言ったら、あなた方、慌てて、何か急に誓約書ができたんですよね、土地の所有者と。それで、私のところにも持ってきた。持ってきて、一部が日本語です、一部がスペイン語ですと言って持ってきたんだけれども、これびっくりするのは、日本語版とスペイン語版と署名の日が違うんですよ。 こんなのがありですか。これ、あなた方が持ってきた日本語版は平成十五年十一月七日署名と、こう日付が入っている。それで、持ってきたスペイン語を私もなけなしの金払って頼んで日本語に訳してもらった。訳した方を読んだら、二〇〇三年十月八日に署名したと書いてあるんですよ。これは、署名した日が違うというのは一体どういうことですか。 ○政府参考人(鹿取克章君) この今先生の御指摘の契約書は、両当事者、すなわちこの、失礼いたしました、これは土地を所有している方とそれから日ドミニカ友好協会、このお二方が当事者でございますが、この当事者の間で結ばれた契約でございます。 したがいまして、この契約の内容が異なるというのはこの両当事者間の話で決められたことであるので、私どもは正確には日本語の契約書の内容と、それからスペイン語の契約書の内容の相違、これがどうしてできたのかは必ずしもよく承知しておりません。 ○尾辻秀久君 あなた方は、ラルイサの土地の上に草の根無償で建物を造ったんですよ。それがきっちりと造ったということを証明してくださいと言っているうちに、証明する書類ですと出てきたんですよ。だけれども、これ証明してないじゃないですか。日本語版とスペイン語版と、もう署名した日が違うなんというのをどうやって信用しろというんですか。しかも、これは両方ともあなた方が私のところに持ってきたんですよ。何も、あなた方が自ら持ってきたんじゃないですか、これは。ちゃんと、ちゃんと約束もできましたと言って。自分たちが持ってきたペーパーぐらい責任持ってくださいよ。私は知りませんって、あなたなんかそんな無責任な紙を我々のところに持ってくるんですか。これはもういい加減過ぎますよ、今の答弁は。 ○政府参考人(鹿取克章君) どうも失礼いたしました。 この契約書の当事者は、一方では土地を所有している田畑さんという方でございます。また、もう一方の当事者はドミニカ、日ドミニカ友好協会でございます。この両者の間で結ばれた契約書でございまして、その内容というものは、その田畑さんの所有している土地、この上に日ドミニカ友好協会の建物を建てる、そのことについての田畑さんの了承を得ること、またその土地については日ドミニカ友好協会がこれから使用すると、こういう内容についてこの両者の間で契約が成立しておりまして、この日本語の契約書の内容と、それからスペイン語の契約書の内容は、その二点についてはきちっと書かれているものと承知しております。 ○尾辻秀久君 きちっと書かれているといったって、署名した日が違うようなその両方を信用しろと言うんですか。余り言いたくないけれども、あなた、スペイン語版と日本語版ですと言って持ってきて、その署名した日が違うというのを、どうやってそれを信用しろというんですか。今、得々とえらい中身について説明したけれども、中身の以前に、これがどんなものだというのが分からぬじゃないですか。全く信用できないものじゃないですか。 私があえてこの質問に飛んだのも、外務省の仕事っぷりというのがいつもこれなんですよ。だから、さっき言った。この問題、追及しているうちに、外務省に日本の外交を任せてたら日本はつぶれると、今や本気で私は思っていますよ。こんな仕事っぷりばっかりするじゃないですか。今だってそうでしょう。ここのだれがそうだって思いますか。まあ、思う方は多分おられないだろうと思う。 もう何回も言いますよ。日本語版とスペイン語版ですと言って、二つ持ってきたんですよ。署名した日すらが違うんですよ。そんなばかな話がありますか。 ○政府参考人(鹿取克章君) 私の説明が行き届かなくて申し訳ございませんが、この契約書の当事者は、一方では田畑さんという方で、もう一方では日ドミニカ友好協会でございます。この両者の間で契約書を結んだわけでございます。そしてスペイン語の契約書を結び、また日本語の契約書、日本語の契約書も結んだと。日付が違うことは事実でございますけれども、その日付についてはこの両者の間の合意で決まったものと考えております。 ○尾辻秀久君 じゃ、スペイン語の方を信用するんですか、日本語の方を信用するんですか。日が違うじゃないですか。 それで、あなた方が、これできっちりできましたと言って持ってきた書類だから、私、こだわっているんですよ。これで証明できましたと言ってきたんじゃないですか。何の、きっちりあなた方が仕事をしたという証明にならないじゃないですか、これで。 こんなの、もう残り三、四分だから止めてもしようがないけれども、こんな答弁でこれ以上質問できないですよ。委員長、何とかしてください。 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。 ただいまの尾辻委員の質問、そして鹿取部長の答弁、これにつきましては、ただいま理事間の話合いにおきましても、極めて食い違いが甚だしい、これについていかがするかということの方向付けについて、川口外務大臣からこの件に関して、あと二分ほどありますから、御答弁をいただきたいと思います。 ○国務大臣(川口順子君) これは、ラルイサの土地に、上に造られた建物をめぐって、土地の所有者とそれから指導センターの片方の当事者である方々、日本ドミニカ友の会の間の利用計画でございまして、外務省が直接当事者ということではございませんのですけれども、この土地については、阿部副大臣が行って見ていただいておりますので、阿部副大臣から御答弁をするということでさせていただきます。 ○副大臣(阿部正俊君) 大変、今の尾辻先生の話で、もし、同じ内容のものを書いておいて別々の日付というのはちょっと非常識過ぎるんじゃないかなという感じがいたします、確かに。ただ、私から見ると、私もスペイン語全く分からないものですから、内容が果たして同じものなのか、最初の誓約書というものは非常に土地だけの問題についての話なんで、そういうふうな理解で作ったんじゃないだろうかと。それから、こちらの方はそれにプラスしてそれの運営まで加えた中の文書なんではないか、そんなふうな気がしますので、もう少し詳細に調べさせていただいた上で御報告させていただきたいと思います。 ○尾辻秀久君 副大臣に申し上げておきますが、外務省が私のところへ持ってきて、これが日本語版です、そして一緒に持ってきて、こっちがスペイン語版ですと言って、同じものですと言って持ってきたのを私は訳してもらっているので、そこの事実関係だけは間違いがありませんから、それを承知の上で今後の対応を考えていただきたいと、こういうふうに思います。 もう残り時間なくなりましたから、これでやめます。
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